眠い。

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「…何で、居るの…?」 やっと、一番口にしたかった質問が出せた。 彼は表情一つ変えず、答えた。 「…理由がなきゃ、居ちゃダメなの?」 確かに、彼の言う通りだ。 私が理由もなく、こうして放課後を使って寝ているように、彼にもこれといった理由がある訳じゃないらしい。 「そういう訳じゃ…」 「…君、さ。何て言うの?」 何て言うの? と言いますと?あだ名?いや違うでしょ。…名前。名前か。 流石に、7月になれば覚えてくれると思ったけど。 現実は甘くないらしい。 「広瀬…由奈…」 呟くように言ってみたけど、聞こえたかな。 彼の顔を少しだけ覗き見る。 少し笑っているように見えた。 「…嘘。知ってた、名前」 「そう…ですか」 何だこの人。わからない人だな。
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