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言葉を発しないで、首だけコクリと頷いた。
「…そう」
嘘。ほんとは、家に帰っても、誰も居ないの。
だから、どこで寝ようと、どうせ一人は変わらないはずだったんだよ。変わらないはずだった…。
こんなこと言っても、ただうわべだけの同情を買うだけ。
そんなんだったら言わない方がまし。
「そっ、そろそろ!暗くなるし…帰るねっ…」
話を変えようとして立ち上がった。嫌だ、こんな話。
鞄を持ち、ドアへ向かう。
「きゃっ!」
一歩踏み出した途端、ギュッっと腕を捕まれた。
結構、力…強い。
「…暗いし、送ってく」
いつの間にか、彼が立ち上がって、至近距離にいた。
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