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寺で萱野は住職から話を聞いた。
「猿食が禁止になってからも実は密漁が横行して、密かに食べられていたんですよ」
「やはり。一度味をしめたら、そう簡単には止められませんよね」
それが人間の性(サガ)。
「この寺の倉庫には、猿食時代の道具がいろいろと残されているんですよ。ご覧になりますか?」
「是非拝見させて下さい!」
どんな道具があるのかとワクワクした。
古くて大きな木造の倉庫にきた。
南京錠を外して扉をふさいでいる大きな板を横に置くと、扉を開けて中に入った。
“ギギギ・・・”
中には首の大きさ程度に穴が開いたテーブルが置いてある。
「ここから猿の頭を出して食べます」
「ということは生きたまま提供ですか? 殺して脳みそを取りだし、調理するのだと思っていました」
「新鮮なら新鮮なほど脳みそは美味しい。少しでも古くなると病原体に汚染される危険もあります。一度疫病がはやり、村人の8割が死に絶えたという記録もあります。それからは生きたまま食すという決まりになりました」
よく見るとテーブルの下には椅子が動かないよう取りつけてある。
住職はそれを指して説明した。
「ここに座らせて体をロープで縛ります。猿は暴れますが、もう逃れる事はできません」
聞けば聞くほど残酷でゾッとしてきた。
「頭の肉を切り開き、頭蓋骨をくりぬき・・・」
『吐き気がしてきた・・・』
萱野は失神した。
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