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「ふむ、準備は出来たようじゃな」
「はい!」
翌朝、諒と里の入口に向かうと既に長が待っていた。
「では行く前に、ワシからの餞別をあげようかの。
紅葉、諒……お主等二人には一族の名を与える。
諒、お主には紫藤(シドウ)の名を。
紅葉には朝倉(アサクラ)の名を使う事を許す。
その名で使い魔を従えても良し、術の強化を施しても良しじゃ。
それぞれ己の一族の名に恥じぬよう、精一杯任務に取り組むのじゃ」
長の言葉に二人同時に頷き、里と外界との境界線に立つ。
「何か手に負えぬ事が起きたなら、諒に渡しておいた護符を使えば良い。
それじゃあ、達者でな……」
「長のご期待に沿えるよう頑張って参ります」
「それでは行って参ります!」
私は諒と共に、長に見送られながら新たな一歩を踏み出した。
それは諒と共に全国各地をまわる長い旅が始まった瞬間だった。
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