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真っ白な雪景色..........
目の前には、小さな女の子が楽しそうに駆け回っている
俺の肩には雪が積もっているが、冷える感覚がない
上を見上げ、手を伸ばしてみる
降る雪は確かに俺の体に落ちているが、手や顔に当たる感触もない
____夢なのか.....?
____じゃあ、あの少女は...
もう1度少女を見つめる
少女はすでに目の前に来ていた
肩まで伸びた綺麗な黒髪に
黒いワンピース姿
頬を赤く染めて、満面の笑みで俺を見つめている
____誰だ.....知り合い、なのか?
『.....お前はだれだ』
試しにそう問いかけるが、少女はなにも答えない
『ねぇねぇ!一緒に遊ぼっ』
そういいながら、きらきらと目を輝かせ、手を伸ばしている
『.....遊ぼうって.....お前は俺の妹かなにかか?』
『遊ぼうよ~』
『.....』
____これは、何を聞いても答えてくれなさそうだ
無反応の俺に怒ったのか、少女は頬を膨らませ俺から去っていく
その少女を見つめながら今見ている夢について考えてみた
____この夢が俺の記憶から生み出されたものだとすれば.....そしてこの雪
もう一度降る雪を見つめた
あまり、いい気分にはならない
____あの少女は、俺に何か関わりがあるのか
少女の方へと顔を向けると、俺はあることに気づいた
少女の向かう先には.....
人のような形をした
黒い"何か"がいた
____さっきまでいなかったはずなのに
気味の悪いそれは、ゆっくりと少女に向かって手を振っている
.....仮にこの夢が俺の記憶だとして、少女はともかく、あれも俺に関係があるのか
"あれ"がなんなのか、さっぱりわからない
____だが.....
血の気が引くような感覚
ドクン。ドクン。と、心臓の鼓動がやけにクリアに聞こえてくる
____ここは夢の中のはずだろ.....でもどうして
嫌な予感しかしないんだ?
『おい!待て!!』
咄嗟にそう叫んで、俺は届きもしない手を少女へと伸ばした
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