act.12 回想

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「探してたんですよ」 「……は?」 いきなりそんなことを笑顔で言われて面食らう。 探してもなにも……あんたとは初対面だ。 そう、言い返そうとすると、男は僕の腕を掴んで歩き出した。 「さ、行きましょう」 「ちょっと!? おい!!」 腕を振り払おうとするが、その手の力は強く、されるがまま、引っ張られてしまった。 女たちから随分と離れたところに来ると、男は僕の腕を解放し、頭を下げた。 「すみませんでした。あの場所から……ご婦人方からなんとか離れたくて……貴方を利用してしまいました。本当にすみません」 包み隠さず、真っ正直にそう言われて、毒気が抜かれてしまう。
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