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「あ、そう」
素っ気なく、そう答え、男から離れようとする。
「……綺麗ですね」
「……は?」
また突然、そう言われて、動きが止まる。
「髪の毛と瞳。不思議な色で綺麗だ、と……」
微笑みながら、あっけらかんと言われて――。
「ああ……。母が……ロシアの血を引いてるから……」
「なるほど。本当に綺麗ですね」
……変な奴。
「何? あんたって、あれ?“あっち”の人なの?」
「あっち……?」
意地悪く、そう聞くと、きょとんとされた。
「女がダメな人」
今度は男の方が「ああ」と呟いた。
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