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「ダメではありませんが……綺麗なものは綺麗ですから、そう言っただけです。いけませんか?」
「いや、いけなくはないけど……」
本当に変な奴だ。
「ねぇ、あんた名前。何て言うの?」
「私?」
「他に誰が居るんだよ」
呆れてため息を吐くと男は僕に名刺を差し出した。
――“ユウ”
名刺には、屋号とともにそう書かれており。
書家だとわかった。
「習字の先生?」
「まぁ、そんなところです。お偉方の代書をやったり……ね」
「ふぅん……」
名刺を眺めていると、男が微笑んだ。
「貴方は?」
「……は?」
「名前。貴方の名前は何て言うんですか?」
……名前。
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