ポセイドンの湯

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オレはなんとか理性を繋ぎ止めようと努力した。 どうすればこの窮地を脱出できるのだろう。例えばここでダッシュで風呂場を出てもシライはまた後で2人きりになる機会を作り、誘惑してくる気がする。 ここは、シライに奉仕させるフリをするしかないかもしれない。 後は俺の中の天使と悪魔の闘いの結果次第ってわけだ。 オレはあえて火中に飛び込む覚悟を決めた。 「シライ、上がるから入り口の方を向いてくれ。」 「はい、では三番目のシャワーの前でお待ち下さい。」 シライから渡されたタオルを腰に巻き、自分で使ってたタオルと洗い用のナイロンタオルを回収して三番目のシャワーの前に座った。 「じゃあ、背中を洗ってくれ。」 「はい、榎戸様。 お背中を流させていただきます。」 スポンジにボディソープを付け、普通に背中を洗い始めた。 「どこかかゆいところや気になるところがございましたらおっしゃって下さい。」 「全体的に頼むよ。」 「はい、榎戸様。 では失礼します。」 するとシライは背中だけでなく、肩から腕へと上半身を全体的に洗い出した。 しかも後ろから手を伸ばし腕を洗うとシライの身体が背中に密着してくる。ここは我慢か。 「榎戸様、前も洗ってさしあげましょうか。」 身体を密着させながら耳元で囁く。シライの体温が伝わってくる。 淫靡な誘惑に呑まれそうな自分と、主導権を握られ流されまいとする焦りが心臓を加速させる。 そして、オレは湯船の中から上がる時には考えもしなかった行動を起こした。 オレの中の天使と悪魔が手を組んだのだ。
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