ポセイドンの湯

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シライは顔を背け『見ないで下さい。』と懇願してきた。 「ああ、そういえばシライ、オレの下僕になりたいんだろ。 ならいいじゃないか。 それより、あの御方って誰の事なんだ?」 「それだけは、お許しください。」 「それだけは? じゃあ、他のことならいいんだね。 オレを誘惑したのはその“あの御方”の命令なのか?」 「お許しください。」 「いや、ダメだ。 言わないなら…」 オレはまた手を泡だらけにしてシライを攻め始めた。 「あ、ィヤ、そんな、 許して下さ、あっ!」 両手を吊られ片足を上げさせられたシライは脚を閉じる事もできずに攻めを受け続け、片足立ちのため体力を消耗しすぐに息が荒くなった。 「まだ喋らないのか。 オレにこんなことされてそんなに嬉しいのか?」 「イヤ、そんなこと。」 「じゃ、イヤなのか? 喋るなら今すぐやめてあげるよ。」 オレは1度手を止めたがシライの身体からは手をはなさない。 「あ、そんな。」 シライの方が身体をくねらせてきた。 「身体の方が正直じゃないか。 喋るならイかせてやるよ。 どうする?」 オレはゆっくりと焦らすように手を動かし始めた。 「…す」 「なに?よくきこえないよ。」 「わ、わかりました。 はぁ、話せる事は、正直に、お話しします。 はぁはぁ、ですから、お願いです。 続けて下さい。」 このあと、さすがに一線は越えなかったが、シライがぐったりするまで攻め続けた。 シライの話はこうだった。 ある御方からオレはシライの運命的な人物だから、誘惑し、気に入って貰うように言われたと。 絵の金具を壊してふたりの時間を造り接近したが、あの御方の言うことに間違いはないと自分で確信したので、メモを渡し、この風呂場には自分の意思で来たのだと。 ただ、“あの御方”については、『今は言えない』とついに口を割らなかった。
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