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待ち合わせの時間3分前に彼女は現れた。
「武人おまたせ」
彼女はボーダーのカットソーにパーカー、デニムのホットパンツ、ミュールといった出で立ちで現れ、
慣れた手つきでトランクにキャリーバッグを詰め込み助手席に乗ってきた。
「さぁ行こ。」
車は発進させたものの行先はまだ聞いてない。
「で、莉緒、どこに向かえばいいの?」
「んー、とりあえず国道南ね。」
莉緒はポケットからスマホを取り出した。
「これ、このアプリに目的地までセットしてあるからこのナビに従って走って。」
「はいはい、わかりました。しかし今回は凝ってるねぇ。」
「いろいろ趣向をこらさないとね。」
莉緒はセットしたiPodに合わせて鼻歌まじりに上機嫌で歌いだした。
このアプリのナビはラリーのコマ地図表示で、要は「何キロ走った先の交差点を左折」みたいな単純すぎるもので、つまり不親切なのであるがそれがまた楽しいのである。
莉緒は地理には詳しくないため道を間違えていても分からないのが不安だが。
それでも2度ばかりやり直したりしただけで第一の目的地についた。
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