終章 泡沫の迷宮

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明るい陽射しが私に降り注ぐ。 「……ん」 ベッドの上――。一糸纏わぬ姿――。 その上に優しくかけられた――ユウの着物。 『さようなら……。愛しい人……。愛してましたよ……』 脳裏に反芻する――別れの言葉。 全てを思い出し、勢いよく跳ね起きる。 しん、と。 静まりかえった館――。 身体が震える。 かけられたユウの着物を上に羽織り、部屋の外に出た。 廊下も、食堂も。 彼らの気配はなく――。
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