終章 泡沫の迷宮

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行ってしまった……。 私を置いて……。 あの二人は消えてしまった。 『愛しているから――連れて行けない』 脳裏に響く、ユウの優しくて低い声。 『貴女は……あちら側に帰ってください。幸せになってください。愛しているから――貴女の幸せだけを願って……』 涙が零れて止まらない。 和紙を抱きしめ――泣くことしかできない。 哀しくて哀しくて―― 喪失感に支配され、ただ子供のように泣くことしかできない。
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