第1章

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その音が携帯を通じて私の鼓膜を揺する。ああ、できれば間近で見たかった。あの男が苦悶にひきつらせている顔をこの目で見たい。夕暮れ時の風に混じって風が吹き、その数十分後、私の携帯にメールがやってきた、そのメールには机、いっぱいに広がった血液と切断された右手の指が全て撮られていた。 「ええ、上出来よ。次もがんばってね」 「……っ!? こ、これで終わりじゃ」 「終わりだなんて言ってないわよ……」 無償の愛というのなら、これなのかもしれない。私は神様ではないけれど、無償の愛の起源はこんなのかもしれない、相手の、奉仕するべき相手のために自分の何かを差し出すのだ。そう、神様の生贄のために命を差し出す風習があったように、 「次は自分の足をハンマーでたたき折りなさい」 そうしたら貴方のことを愛してあげてもいいわと笑った。
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