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「わーすごーい。魔力強化だけでこんなにぶっ刺さるなんて…」
その声は異常に明るくて軽く現実逃避して居るのがわかった。
「みんな、先生がまだ違う世界にいるからこれで戻そうよ」
深夜は笑うのを堪えながらシャーペンを取り出す。
「戻って来ない方が悪いもんね」「仕方ないよね…」と口々に呟きながらシャーペンを構えて投げた。
「うわっ!!ちょっ危なっ!!おめぇらオレを殺す気か!?…誰だカッターに魔力強化して投げた奴!!」
廃村はすぐに帰還してシャーペンを躱したり掴んだりした。
涼夜はこれに加わる気がなく、ただ困ったように傍観していたが千夏は違った。
千夏は一見、傍観しているがそうではなかった。最初にシャーペンを突き刺した張本人であり、さっき廃村が余所見しているところを狙って切れ味のいいカッターの刃を廃村の目、目掛けて飛ばしていたからだ。
「あーもう。やめやめ!てめぇらブッ飛ばすぞ!!」
廃村が切れかけたところで全員やめた。
「これから…あーあと少しじゃん…魔力量計測と属性調査をする。サボったら退学な。ついてこい。そしてその場のノリに合わせて計測してこい」
「魔力計測と属性調査をサボるだけで退学なら教師はどうなことをやったら辞表を書かなければならないんでしょうね……そう、例えば…生徒に説明せずに放っておいて寝る、とか…」
廃村の足が一瞬止まった。冷や汗はダラダラである。
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