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春。入学シーズン。
「りy…涼夜(すずや)様………何故、私も学園に行くんですか」
「何でって……十六歳なんだから学園に通うのは当然だろう?」
「それはそうですが…私は涼夜様をお守りする身であり影、学園に通うなど…」
「だからだよ…千夏には学園に通ってもらいたいんだよ」
真新しい制服を着た少女と少年は桜並木の通りを歩いていた。
千夏と呼ばれた少女は十六のわりには少し背が低く、漆黒の長い髪を二つに分けゆるく三つ編みにしていた。
涼夜と呼ばれた少年はこれまた十六のわりには落ち着いた雰囲気を持っており、片目をこげ茶の髪で隠していた。髪が少し長めだろうか遠くから見たら女と間違われそうだ。
「ですが…」
まだ渋る千夏に涼夜は微笑む。
「じゃあ、命令。それで良いでしょ?」
「………分かりました」
千夏は少し躊躇いながらも頷いた。
「僕たちがこれから通う学園は魔法を学ぶ学園、王立桜田魔法学園だ。魔法師が必ず通う学園だから絶対に僕らの…」
「心得ています」
「言う必要はなかったね…この学園はそこを除けばいいところだ。セキュリティも万全だし、特別奨学金制度で入学費、授業料とか全て免除だし、寮もあるからね」
「はい、だからこそ危険を冒してまでこの学園に入学しましたかね」
千夏は涼夜の言葉に笑みを浮かべながら答える。
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