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「…それにしても泡沫って苗字、珍しいね」
「ああ、よく言われるよ」
「水城さんはどう思う?」
「別に…どうして意味のない質問に答えなければならないのですか」
深夜は暇なのか涼夜の苗字の話をした。
千夏にも話を振って見たが一蹴されてしまった。
「それもそうだね……じゃあ、面白い話をしようか」
千夏に一蹴されても笑みを絶やさず次の話をする。
「今年度は四大貴族の次期当主候補たちが入学して来るんだって」
「それのどこが面白い話なんですか」
深夜の話に二人は少し反応した。
「いやぁ、だってあの四大貴族の次期当主候補の人たちが同級生だよ?奇跡にもほどがあるよねって話」
「そういう深夜だって次期当主候補の一人だろ?」
涼夜の言葉に深夜は一瞬キョトンとしてまた笑った。
「僕、そう言うのは興味ないからさそう言うのは腹違いの弟に言ってよ」
「つまり、当主になる気は無いと」
「そうそう、僕は楽しく生きていければそれでいいからさ。親父…お父上にはちゃんと伝えてあるし」
深夜はヘラヘラ笑いながら二人に教えた。
「楽しいか?」
「うーん、あの頃と比べたら楽しいかもね……でも今は柵(しがらみ)が邪魔でしょうがないけどね」
涼夜の質問に答える途中で入学式が始まった。
なので深夜の最後の言葉は涼夜には聞こえなかった。
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