入学式

4/14
前へ
/61ページ
次へ
「…それにしても泡沫って苗字、珍しいね」 「ああ、よく言われるよ」 「水城さんはどう思う?」 「別に…どうして意味のない質問に答えなければならないのですか」 深夜は暇なのか涼夜の苗字の話をした。 千夏にも話を振って見たが一蹴されてしまった。 「それもそうだね……じゃあ、面白い話をしようか」 千夏に一蹴されても笑みを絶やさず次の話をする。 「今年度は四大貴族の次期当主候補たちが入学して来るんだって」 「それのどこが面白い話なんですか」 深夜の話に二人は少し反応した。 「いやぁ、だってあの四大貴族の次期当主候補の人たちが同級生だよ?奇跡にもほどがあるよねって話」 「そういう深夜だって次期当主候補の一人だろ?」 涼夜の言葉に深夜は一瞬キョトンとしてまた笑った。 「僕、そう言うのは興味ないからさそう言うのは腹違いの弟に言ってよ」 「つまり、当主になる気は無いと」 「そうそう、僕は楽しく生きていければそれでいいからさ。親父…お父上にはちゃんと伝えてあるし」 深夜はヘラヘラ笑いながら二人に教えた。 「楽しいか?」 「うーん、あの頃と比べたら楽しいかもね……でも今は柵(しがらみ)が邪魔でしょうがないけどね」 涼夜の質問に答える途中で入学式が始まった。 なので深夜の最後の言葉は涼夜には聞こえなかった。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加