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涼夜は千夏と深夜の間に何かが走ったような気がした。
「貴方とは…」
「おめぇらー席につけ。HR始めんぞー」
千夏が何か言おうとした時、タイミング良く担任が入ってきた。
「おめぇら入学おめっとさん。欠席者、遅刻者、迷子者いないなー。えーオレはアレだ。面倒なことにおめぇらの担任になった灰村だ。オレにメーワクかけんじゃねーぞ」
クラスメイトのみんなが無表情で灰村を見た。
学園内ルール無視の吸いかけのタバコ、だるそーな声、息苦しいのか緩められたネクタイと第二ボタンまで開けられているワイシャツ、寝癖だらけの髪。そして極めつけはこの世のことなんかどーでもいいと語っているような死んだ魚のような目。
ヤル気なしの教師の典型的な見本だった。
「廃村先生、それで教師だと言うのなら10…いえ100年くらいの時間をかけて出直してきてください」
千夏の絶対零度の死線が灰村もとい廃村に突き刺さる。
「〝廃〟…村……」
深夜は千夏の言った言葉の意味に気づき必死に笑いを堪えている。
「ひゃ…百年は寿命が持たねーな……それにオレはオレだ。これがオレのポリs…」
クラスのほぼ全員が冷めた目で無言で廃村を見つめていた。
ついでに言うと魔法によって強化が施されたシャーペンが廃村の頬をかすり黒板に突き刺さった。
「……………」
廃村は恐る恐る黒板を見て現実を確認する。
やはり先が黒板に深々と突き刺さっているシャーペンがあった。
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