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手越side
まっすーが家に来て、なんとかまっすーと会う覚悟ができて学校に向かった。
学校に着くと、まっすーの姿はなかった。
ホームルームが始まって、先生が重々しい雰囲気をして教室に入ってきた。
「……みんな、もう知ってるのかもしれないが……。増田は昨夜車にはねられて……、朝方亡くなったそうだ…」
瞬間クラスから嗚咽みたいな声がする。
俺は信じられなくてけいちゃんにふざけんなよって声をかけようとして後ろを振り向くと、けいちゃんはうつむいて机に突っ伏してた。
「けいちゃ……」
「…………。……どうしてだろうね……」
けいちゃんが悲しそうな声で一言そういった。
「……本当、なの?」
「本当じゃなかったら、先生がこんなふうに言わないよ……」
「まっすー…が、なんで?」
「……そんなの、けいちゃんにはわかんないです……」
けいちゃんが塞ぎ込んでそれ以上喋らなくなった。
目前が真っ暗になっていく気がした。
俺がまっすーを死なせたも同然だ。
まっすーに友達じゃないなんて言ったから。まっすーの気持ちを拒絶して、自分ばっかり押し付けたから。
その日一日の授業なんて頭に入ってこなくて。
俺はずっとまっすーにたいしてどう贖えばいいのかわからなかった。
「手越、お前昨日増田に会ったんか」
「……錦戸、くん…。」
声をかけられた方を向くと、どこを見てるかわからないような心あらずの目をした錦戸くんがいた。
「…………会ったよ。家に来た……」
「……なんか言われたんか」
「……ごめんねって。…………好きだったって。言われた」
「増田が……お前を……?」
「うん……ずっと、謝ってた」
「…………っ…………俺、最低やな」
錦戸くんひどく傷んだような自虐的な笑顔を浮かべて、俺の机から離れていった。
もう俺には錦戸くんを擁護する言葉が見つからなかった。
今日一日中クラスは悲しみに包まれていた。クラスメイトの死去に揺れる波紋。
クラスメイトが山下くんがまっすーを殺したんだなんて言われて責められていた。
前々から山下くんのまっすーに対する扱いのひどさ目撃していた人がいたらしい。
ここぞとばかりに山下くんを攻撃して、どうしようもない悲しみを晴らそうとしてる。
山下くんは何を言われても動じずに、ただひたすら無難な相槌しか打たなかった。
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