第三章

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手越side 錦戸くんとは今でも付き合ってる。 俺が少しだけ我慢をすれば、幸せにはなれるから。 でもまっすーとの関係はだいぶ変わった。 俺は以前みたいにまっすーに接せられなくなった。子供みたいな嫉妬心から、まっすーにふとした時に乱暴をあたえてしまう。 「…手越、お昼、一緒に食べようよ…」 「……なんで?」 「なんで、って…。そんな、僕が一緒に食べたいから……」 「俺は食べたくないんだけど……。」 「そんなっ……、」 「コラ、まっすーは俺と食べるんでしょ。早く来なさい」 「や、やだっ……」 山下くんがそう言って、多少抵抗するまっすーを自分の机の元に戻す連れていく。 まっすーが絶望したような顔色になって山下くんの椅子に座らされて。 山下くんにおかずをあーんってされて。 幸せそうなまっすーが羨ましい。 なんでみんなまっすーなんだよ。 不貞腐れながらその様子を見てると、山下くんがまっすーにキスして。 まっすーと山下くんは、そういう関係だったのかな。 俺を見るまっすーの顔は、やはり絶望に塗り潰されたようなおもむちだった。 あれから俺達六人の形はだいぶ変わった。 小山とシゲ二人はいつもお互いに笑いあっていて。 山下くんとまっすーが一緒にいることが増えて。 俺と錦戸くんはただ黙って一緒に帰るみたいな、関係で。 錦戸くんと付き合えて、毎日が充実してる筈なのに、なんだか満たされない。 付き合えないでいた日々のほうが幸せだったようにも思えてしまう。 そんな毎日。
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