第三章

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誰も来ないような古い教室に山下くんに無理やり投げ入れられた。 嫌がる素振りを見せても山下くんは行為をやめてくれないことは、何回も抱かれた上で理解したことだった。 「はっ、ふぁ、っ……や、ぁっ」 「まっすー、まっすー……」 部屋中に荒い息遣いが響く。 「痛い……?…痛いよね、鼻血出てるもん」 山下くんは痛がる僕が好きみたいで、僕を抱く時、たいていお腹を殴ったりする。 その痛みにもがく僕を見るのが、最高に幸せなんだって。それって、最高に歪んでるよね。 今日は教室に入るなり、鍵も締めてくれないで僕を重ねられた机の上に押し倒して、三発ぐらい僕の頬を殴って、それから慣らしもしてくれないで突っ込まれた。 そのせいで鼻血が出て、息に詰まる。 相手の事なんて全く考えてない。自分本位の行為をしておきながら、愛してるなんてよく言えるよね。 「ふ、ふっ、……ぁ、あ」 なににも助けてもらえないのに、僕の右手は誰かに助けを求めて伸びていく。 そんな哀れな僕におおいかぶさって、山下くんは勝手に腰を早めたりする。 涙で視界が滲んでいくなか、締まっていなかったドアから人の形をした影が揺らめいてこちらに近づいてくる。 「なにしとんねん、お前ら。」 しばらく聞くことのなかった関西弁。少し掠れている大人びた声の主はどう考えたって錦戸くんだった。 山下くんが錦戸くんに気づいて、僕から体をあげる。 「なにって、見てわかんないの?」 「わかるわアホ。なんで教室でしとるんやっちゅう話や」 「まっすーが可愛いからね、仕方ないよ」 山下くんが少し体を動かす。 そのはずみで僕の中に入っている山下くんの自身が動いて、その動きに不意に感じた。 「ふ、ぁん!」 「まっすー、そんな声出して誘わなくてもいくらでも犯したげるからね。あ、そうだ、亮ちゃんも使う?まっすー」 「…増田を、?」 「そう。手越をまっすーに見立てて抱くなんてしてないでさ。俺らで使おうよ、この子のこと」 「て、ごし……?」 「まっすーには関係ないからね、大丈夫だよ」 「ひゃ、あ……ん!」 突然出てきた手越の言葉に声を出すと、山下くんが遮るように腰を動かした。
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