第三章

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「なに迷ってんの?まっすーが本命なんだから、手出しちゃえよ。こんなぷっくりした乳首とか、触りたいとか思わないわけ?好きなんでしょ、まっすーのこと」 「好きや、けど……。」 「じゃあ、迷わなくていいじゃん。ほら、まっすー、亮ちゃんのくわえたげて」 そう言って山下くんが錦戸くんを僕のそばに連れて、錦戸くんのをくわえるよう命じた。錦戸くんは僕の顔を見るなり目を見張ってた。僕は血が固まって、少し息がしづらくなってる中で息を吐いて、口を閉じた。錦戸くんのものをくわえるなんて、できない。錦戸くんは手越のものだから。 「あれ、まっすー。なんで口閉じちゃうの?」 「あ、あがっ…!」 山下くんが反抗した僕の顔を殴る。 止まってたはずの鼻血がまた流れ始めて、固まった血が溶けて呼吸がしやすくなる。 「おい……」 「ああ、いいんだよ。まっすーはバカだからこうして殴らないとわかんないの。ほら口開けて。」 「……ぁっ、ひゅ……」 それでも口を固く閉ざす。 手越のこと、もう裏切りたくないから。 「……もう、まっすーってば」 山下くんがそう言って僕のお腹を何度も何度も殴りはじめる。 みぞおちに何発も拳が入って、ひどい吐き気に襲われる。それでも口を開くもんかとしのびたえる。 「なんで今日はそんな強情なの。亮ちゃんが嫌い?」 「……っ、ち、違ぁっ……、ひ、ひゅ、っ…て、手越が、って、ごしの…好きっ、な人、だか、っ……ら!」 「ふーん。まっすーの大好きな手越を裏切ることになるから嫌なんだね?そっかぁ。亮ちゃん、手越ここに呼んでくれる?」 「……ええで」 「なん、で!やだ、ぁっ、やめ、て……!!」 錦戸くんが携帯を取り出して手越に連絡をとる。 手越を呼ぶって、なんで。 山下くんは何を考えてるんだろう。 僕はなんとかこの状況から、手越が来る前に抜け出そうと体を揺らした。 すると、運良く山下くんの体をかいくぐって抜け出すことができた。 だけどすぐに山下くんが僕を捕まえて、床に僕の頭を押し付けた。 「逃げ出そうなんて、悪い子だね。まっすー」 そう艶っぽく笑って、山下くんは僕の鼻血に濡れた顔を思いっきり殴った。 「ぅ、ぁっ……!!」 痛みに悶えて頭を落とす。 すると、山下くんが僕の頭を掴んで、錦戸くんの元へと引っ張っていった。 もう痛みに出る声などなかった。
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