第四章

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手越の家のチャイムを押すと、泣き腫らした目をした手越が出てきた。 「なにしにきたの、……」 手越が面倒くさそうにわざとらしく頭をかいた。 「謝りたくて……、」 「昨日のこと……?」 「全部…っ…」 「………」 手越は何も言わずドア越しに僕をのぞき込んでる。 「あの、ね……手越。昨日……ごめんね。僕は……錦戸くん……に」 「…………錦戸くんに愛されていいよね、まっすーは」 「て、……手越は言ったよね、好きな人に愛してもらないって……僕だって、同じ……」 「……まっすーは、山下くんにも錦戸くんにも愛されてんじゃんか……。」 「違うの……本当の、好きな人……ずっと好きだった人……に、僕、嫌われて……苦しくて……っ、謝りたくって…」 「……まっすー?」 「……僕、本当は、手越がっ……」 好きだって、言ってしまおうか。 もう隠す必要もなくなったんじゃないか。 僕の体はとっくに汚れきって。 手越に愛されるはずもない。 だったら、愛されないなら、もういらないから。 最後に想いだけ伝えてしまおうか。 「……好き、だったっ……ごめ、ごめなさっ……」 「……っえ……」 「…手越は……っ、錦戸くん、錦戸くんって……悔し、くて、寂しかった……っ! でも、手越には、幸せになってもらいたくて、いっぱい我慢してっ、なのに、なんでっ……こんなことに、なっちゃったんだろうね……ごめんね……っごめんなさっ…」 「……」 気がついたら涙が溢れてた。 アスファルトの地面に涙が一粒たれて、色濃く染み込んでいく。 「まっすー……、帰って」 「ごめ、ね……ごめ、……」 「帰ってよっ……」 手越が泣きはらした目をさらにはらすように泣き出した。 「…っ、手越……ごめ、ね……ばいば、い……」 手越の言う通り帰ろうと、手越に背を向けて歩き出す。 「まっすー、もう、…友達じゃないからっ……!!」 後ろから上ずった手越の声が聞こえた。思わず足を止めて振り返る。 「……っ、ごめん……」 僕はただ謝ることしかできなかった。顔は不思議と悲しみにあせてなくて、感情を押し殺すように笑っていた。 錦戸くんに抱かれて、手越に嫌われて、山下くんに逆らって、残ったのはなんだろう。ぼろぼろになった僕の体だけ。 こんな僕を手越が愛してくれるわけ無い。 それなら、もういいや。
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