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なんとなく、まっすーがはねられたといわれる車道に訪れていた。
本当避けたかったけど、まっすーが死んだなんて未だ信じられなかったから、この目でちゃんと確かめたかったのだ。
車道には、花が供えられてた。
誰も足を止めはしないけど、供えられた花を見て苦虫を潰したような顔をしている。
その花の元にうちの制服の人影が見えた。
「山、下くん……?」
「……手越」
「なんで……」
「なんでって、まっすー会いたくて……」
「……お葬式とかでなら、会えるよ……」
「葬式には行かないから……」
「なんで……山下くんはまっすーのこと嫌いになったの……」
「……違う、大好きだよ…。行かないんじゃなくて、行けないんだよ。俺、昨日まっすーにもう許してって叩かれたんだ。俺、わかんなかった…大好きなのに、大好きな人を大事にする方法が……。俺は好きな人が逃げないように殴ることしか考えられなかった…。だから、最後ぐらいまっすーの前から消えなきゃ……」
「……殴る、って」
「知らなかったの……?まっすーのこといつも無理やり犯して、殴って……。錦戸の時だって。必死に嫌がるまっすーを散々蹴って殴って……」
「……っ、まっすーが?」
「手越を呼べって言ったのも、俺だし。ますーずっと抵抗してたよ、よっぽど手越を傷つけたくなかったんだろうね」
俺は気づくと、山下くんの頬を叩いてた。
まっすーのこと、そんな風に扱ってた山下くんのこと許せなかった。
「最低っ……!!」
「っ、そうだよ……最低なことぐらい知ってるよ……。わかってるよ…」
山下くんの目から涙がこぼれた。
俺ははっとして山下くんの頬に流れる涙を見た。
「手越が叩いたとこ、まっすーに叩かれたとこと一緒だね……。…まっすー、行かないで……行かないでよ……。」
「……山下く、ん…」
山下くんは俺を見てる筈なのに、その目線ははるか遠くを眺めているようだった。
俺はただ山下くんの泣いてる様を見ていることしかできなかった。
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