860人が本棚に入れています
本棚に追加
ジャッ、ジャッ、ジャッ
ジャッ、ジャッ、ジャッ
嫌なことがあった夜は一心不乱に単純作業をこなす。
ジャッ、ジャッ、ジャッ
ジャッ、ジャッ、ジャッ
満たされない気持ちやドス黒い感情を自分なりに昇華させていく。
ジャッ、ジャッ、ジャッ
ジャッ、ジャッ、ジャッ
ボウルいっぱいの山盛りの刻んだ長ネギは鼻の奥をツンとさせた。
「さてと…」
合い挽きミンチと刻んだ生姜も入れて一気に素手で混ぜる。握る指と指の合間から飛び出す肉の赤を追いかけるように、また肉を掴む。それの繰り返し…。
一通りタネを混ぜて、具を多めに皮で包む頃には鼻歌まじりになってきていて
今日の満たされないドス黒い感情を餃子に姿を変えて、プシュッ。
缶ビールを開けた。
最初のコメントを投稿しよう!