4年後……

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焼きたての餃子を頬張りながらビールで喉を潤して、今日仕事に使ったバッグから取り出したのは薄いピンクの封筒。 【柳澤典子様】とご丁寧に筆書きの名前。ダイレクトメールの類いとは違う上質な素材。 手渡された時に動揺した自分を思い出して苦笑いしてしまう。 封を開けて手を伸ばした先のボールペンを掴む。葉書の裏の出席にマルをつけて、一言「おめでとうございます」と書き添えて。 住所と名前を記すると葉書だけバッグに戻して、空の缶を流しに置いて冷蔵庫から新しく冷えたビールを取り出す。 「年度末のクソ忙しい時に…」 2カ月先のカレンダーをめくり大安の土曜日を見つめた。 世の中でどのくらいの割合の女性が【結婚適齢期】なる言葉に悩まされ続け苦しめられているか。 世間では20代後半から結婚して出産していくことが当然のことのように受け入れられているのに。 大好きな人から他の人と幸せになれと言われた私は未だ一人身。 このまま独りなのかなーーー 不安に押しつぶされそうになる。
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