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しつこく鳴るインターフォンとリンクするLINEで扉の向こうにいる人物を特定できる。 「解ってて居留守とかあり得ない」 レジ袋をぶら下げて現れた匠は不機嫌だった。 僅かな隙間から顔半分を見せて追い返すつもりだった。 「どうして来たの?大丈夫だって返事したよね」 外からの引く力に負けて大きく開いたドア。外の澄んだ空気と一緒に匠は入って来る。 「心配だからだよ。顔色凄い悪いし、病院には?」 靴まで脱いで部屋に上がりこもうとする身体を身体で遮りスーツの胸元を押し返した。 「病気じゃないのよ」 「はぁ?病気でもないのに、体調不良で会社休んでんの?」 ……愛美さんに会った次の日から私は会社に行けないでいる。 「この部屋寒くない?ねぇ典子、今日は飯食ったの?」 遠慮なしに奥へと上がる匠をどうにかして引き止めようにも慌てるだけで言葉にならない。 「……どうしたの、コレ。典子、なに考えてる?」 見つかりたくない人に見つかってしまったことで、私の部屋には私のため息が響いた。 パンパンに膨れ上がったゴミ袋が部屋をを占領していて、電化製品の類いの全てのコンセントは抜いてある。 築年数のあるこの部屋の温度は外気温とさして変わらないはず。 「何があった?」 匠の低い声と大きな影に迫られて、手渡されていたレジ袋が鈍い音と共に床に落ちた。
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