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目元を覆われて背後から拘束され、助けを求めようにもカラカラに渇いた喉に声は出てこない。
「ノンコ……、会いたい?」
その名前で呼ばないで!!
羽交締めにする腕から逃れようともがいた。
「ノンコ…ノンコ……」
わざと吐息を混ぜて耳元で囁かれ続けられて、まともな思考でいられる訳がない。
「ま、さ…」
目に浮かぶのは昌さんの笑顔で
「ノンコ……」
強く強く抱きしめられれば、抵抗する力も奪われていく。
「昌さん、昌さん!!……昌さん!」
手を伸ばして掴んだ先にはスーツの感触。
触れてすぐに離れた唇には自ら顔を傾けて求めた。
今、目を開けて光を取り込んでしまったら、私の昌さんは消えてしまうから。
深く深く目を閉じて昌さんを求めた。
カラカラの喉は柔らかく強く掻き回す舌に潤されて、柔らかな場所を焦ったく触れる指先。
「…….してッ、ンァァ!……もっと、もっと」
困ったように首を傾ける姿を描いて、荒い呼吸を繰り返しながら、汗ばむ首筋に腕を巻きつけて名前を呼ぶ。
「まさ、さん……まさ….」
どうして、私を巻き込んでおきながら
いつも私を手離すの?
私の人生は、昌さん無しでは何の色も意味も成さないのに。
脳天から突き抜ける衝撃波に痺れが残り、全身に噴き出す汗と落ち着かない荒い呼吸。
横たえた身体は、蒸発する汗のせいでゾクゾクした寒気に襲われて、湿った洋服を剥ぎ取ろとする意識に目を開けた。
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