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匠との結婚を決めたのは、彼以外の相手が考えられなかったから。匠となら私の幸せを見つけられると思ったから。
「ママぁ!!」
制服を着た子供達が並ぶ園庭で自分に向かって一直線に走ってくる我が子を身体で受け止めた。
「ママ、あのね?今日ね…」
離れていた時間を埋めようと喋り始めた子を抱き上げてから担任の先生と挨拶を交わした。
父親似の宗(たかし)の笑顔を見つめて、改めて匠からたくさんの幸せを貰っていると思う。
私の手を決して離さない宗の小さな手は温かくて柔らかい。
「ねぇ宗(たかし)、パパが今日は早く帰ってくるからお買い物して帰ろう」
「今日はパパとお風呂入れる?」
「うん、入れるよ」
「ヤッタァ!!」
私の歩く歩幅は息子に合わせてゆっくりになる。
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