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ドアの向こうが騒がしくなってきて、会議が一旦休憩に入ったと察して一旦給湯室に入る。
「柳澤さぁん。中川課長の機嫌がモノ凄く悪いですぅ」
「はいはい、すぐ行くわ」
給湯室に顔を出した同じ課の吉田さんに返事をして、部長と課長のカップにコーヒーを注いでフロアに向かう。
深呼吸を一つして、部長席の後ろの窓に向かって並ぶ背中にヒールの音をさせて近づいた。
「失礼します」
「あぁ、柳澤さん。コーヒー欲しかったんだ」と目尻に皺を寄せる部長に労をねぎらうつもりで微笑んで。
「後で会議の資料渡すから後で数字を纏めとけ」と山盛り砂糖2杯入りのカップに手を伸ばした中川課長には小さく頷いて見せた。
会議が紛糾しているのだろうか、険しい顔を肩を寄せ会話する二人は一気にコーヒーを飲み干してまた会議室へと戻って行った。
週の半分くらいを会議に費やす上司のフォローと月に一度の[経営戦略会議]の資料作りや会場のセッティング、その会議後のイロイロ。その雑用の全てが私の仕事。
今日の定時退社は無いな。
軽くなったカップを二つ下げてミーティングルームに戻った。
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