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「……や、す……おみ……い、痛い……っ」 「あ、わ、わ悪い!」  慌てて保臣は腕を解いた。 「……ふー……」  桂は一度大きく息を吐いた。まだ心臓がドクドクいっている。 「保臣……」 「……はい」 「俺は……男だ」 「うん……」 「でもって、幼なじみだ」 「……うん」 「まだ、一時の迷いで済む」 「……」 「クラスメイトの女子が気になるようにな……」 「ならない!!」 「っ……」 「……」 「……」 「……」 「……あ、証、を……」 「……えっ」 「なら……証を、示して、ほしい……。お、俺のことが、好きだとい、う……」 「……いいのか?」 「……」 「目……閉じて……」 「……」  言われるままに、桂はゆっくりとまぶたを閉じた。 「好きだ……」  それから少しして、桂の唇に保臣のそれが、そっと、優しく重なる。 (保臣……)  この行為を、本当は自分も待ち望んでいた。  溢れる想いが、やがて雫となって桂の頬を伝い、保臣の頬にふれた。 「んっ……」  それを皮切りに、大胆に保臣の舌が割って入ってくる。  そうして二人は深いキスを交わし、そのままベッドに沈み込んだのだった――。
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