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 桂と保臣は、幼なじみを越えて恋人同士となった。  身体の関係も持つようになった。  付き合い始めてから最初は、週一回の、保臣の部活休日日だけをどちらかのベッドで過ごすようにしていた。  ところが最近、日頃窓をロックしていないのをいいことに、頻繁に保臣が桂の部屋を訪れるようになったのである。  しかも決まって寝入り端(ばな)にだ。  睡魔に勝てない桂は、抵抗らしい抵抗も出来ず、例え睡魔に打ち勝ったとしても、その時にはすでに別のものに勝てない自分がいた。  ほぼ強引と呼べるこの行為に、桂は怒りを感じずにはいられなかった。  この保臣の暴挙を防ぐ術(すべ)はただ一つ、部屋の窓をきちんとロックすることだった。  単純な予防術ながら、つい先日までいつもの癖で、なかなか窓をロックせずに寝てしまい失敗したものだが、ようやく今回は成功したといえる。  ――が。  今襲われていないにしても、保臣は目の前に居座っていた。油断は出来ない。 「……ところで、今読んでいるのってこの本か?」 「そうだ」 「ふーん。日本古典文学集ねぇ……ふーん」
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