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ローテーブルに置いていた本を保臣は手に取り、パラパラとめくり始める。
「ふーん。なになに……“言霊のさか”……って、先が読めねぇ。……これ、日本語か!?」
「立派な日本語だ!今よりずっと美しい……しかし、驚いたな」
「何が?」
「“言霊”を読めた」
「ふん!それぐらい俺でも知ってるぜ」
いきなり保臣は立ち上がると、
「祝詞とか、呪文の類のことだろ!」
へへんと胸を張った。
「ああ……」
桂は気付いた。
「その、マンガから得た薄っぺらな知識を自慢気に披露するのはやめろ」
「あれ、バレた?」
「当たり前だ」
ハハと笑い、ソファに座り直す保臣に対し、桂は呆れの色を含んだ声をもらす。
「“言霊の幸ふ国”といってな。昔、日本は言霊というものがあって、その力によって幸福となることが出来ると言われていたんだ」
「ふーん。今はもうないわけだろ?」
「ある」
「えっ」
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