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「あると俺は信じている。マンガや小説みたいに、それで何かをやっつけられるというのはよく分からないが、こうやって人が話し合う時、言葉をたくさん並べるだろ?それで相手は何を言っているのか理解出来るわけだが。言葉に意味があるということは、“意味”という“力”を持っているものだと俺は思っている。だから、少なくとも言霊は今も存在していると思っている」
「ふーん。よく分かんないや」
「……」
(今更だが)こいつに勉学上のことを熱く語っても無駄かもしれない――桂は思った。
「なんかさ、もうちょっと分かりやすく説明してくんない?」
「は?」
「うーん、言葉だけの説明だとなんだかいまいちピンとこないんだよね」
「……と、言われてもな」
桂はしばし考えこんで、
「……じゃあ、これならどうだ?」
おもむろに立ち上がり、保臣の隣に腰を下ろすと、
「あ・い・し・て・い・る」
わざとらしいぐらいに艶っぽく、耳元で囁いてみせた。
ボンッ
保臣の顔が瞬時に赤く染まった。
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