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 桂は進学校で有名な、私立の男子校を選んだ。中学校時、読書と同じく力を入れていたのが勉学だった。  両親が、「好きなようにやりなさい。ただし、決めたら必ずやりとげること」という、厳しいが心強い後押しもあり、塾に通わせてくれたこともあって、無事第一希望の学校に合格したのである。  両親には、大学に行くうえで、革新的な授業方法に定評のあるこの学校へ行きたいと理由を語った。  幼なじみである保臣には加えて、図書に力を入れているからと説明した。  反対に、保臣は都立の共学校を選んだ。親に負担をかけさせたくないという思いがあったようだが、しかし彼は都立校の中でもスポーツ、特に野球の強豪として名高い学校に進学した。  彼は誰の目から見ても、卓抜した運動能力を持っていた。中学の部活はもちろん、野球部だったが、飛び入りとしてよく他の運動部の活動に混じることもあった。  残念ながら、野球部としてはレベルが低かったために、名のある高校に目をつけられることはなかったが、一部のそこそこ有名な高校にはスポーツ推薦をしてもいいという学校側の対応があった。
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