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「来た!」
職場の並びのビルのコンビニのイートインコーナーに座って外を見ていた松本莉乃は急いでペットボトルをバッグにしまうと出口に向かった。
正確に言えばただ外を見ていたのではない。待っていたというのが正解だろう。
ここにいればビルに出入りする人が見える。朝の出勤時間帯は他の出入口は閉鎖されているから必ずここを通らないとオフィスに入れない。
そしてここ数日のチェックで、彼はそろそろ来るはずだった。莉乃は上村卓哉が来るのを待っていた。
「おはようございます。」
上村卓哉はその挨拶が自分に向けられたものだと一瞬気づかなかったようだった。
「松本さんか。おはようございます。」
莉乃は並んで歩き始めた。といってももうエントランスなのでエレベーターに乗ってフロアに着くまでのほんの数分。
それでもチャンスに違いない。莉乃はカチッとギアを入れた。
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