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『広希、この子にわかってもらうのはまだ無理よ。あきらめたら?』
「そう言うなよ、浄火。仕事なんだから」
『彼は見込みがないって報告なさいよ』
「そんなわけにはいかないよ」
ハイビスカスに理解力がない、と判断されているようだ腹が立つ、……と言うか状況がおかしすぎる。
「ちょーっ、勝手に変なもんと話しこんでんじゃねえっ」
広希があきれたようにこっちを見た。
「聞こえたのに耳ふさごうとするからややこしくなるんだよ」
もうこうなったら、しゃべるハイビスカスを認めるしかなさそうだ。
「じゃ、……そこは譲る」
「はいはい。わかったらさっそく散歩に行きましょうかね」
「な、に言って」
「基礎から応用にうつるのは勉学の道にいる君には当然だろ」
ああ二度と戻らぬ懐かしき学生時代、と広希が大げさに手を動かした。
素朴な疑問がわきあがる。
「……あんた年いくつだ」
「にじゅうよん」
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