第1章

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ここは茨城県水戸市の隣駅にある、どこにでもありそうな小学校。 3年2組の教室の中で、この物語は幕をあける。 生徒たちが休み時間に会話をしている。 「おい、準(じゅん)!引っ越しちゃうってほんとかよ。」 運動も勉強もできるクラスの人気者タイプである翔が、かぜの噂で流れてきた質問を準になげかけた。 「うん、お父さんの転勤の関係で。。」 準は整った顔をしており、眼鏡をかけた優等生タイプだ。実際、頭もいい。 「そうか。大人の都合ならしょうがないな。これからの日本は、大人の都合を子供が理解してあげなきゃ、経済成長に、支障をきたしそうだからな。ところで、どこに引っ越すんだ?」 「アフリカだよ。」 「アフリカ!?確か、おまえの親父携帯電話オペレーターに勤めてたよな。前に海外進出に失敗してるくせに、懲りずにまた、海外進出するのか。競合オペレーターにシェア奪われちまうぞ。」 「確かにドコモフは海外進出に失敗したけど、途上国では、女性の社会的地位がまだまだ低くて、その立場の弱さを利用したいろいろな犯罪が多発しているんだ。ドコモフは、携帯電話を市場に投入することで非常時の連絡手段を普及させ、少しでも犯罪抑止に繋げたいみたいなんだ。」 ドコモフは、日本国内トップシェアの携帯電話オペレータだが、近年、競合オペレータの勢いが増してきており、その地位を脅かされている。 「ふーん。まあ、結果的に普及すればシェアはのびるからな。これからに期待だな。」 翔と準が話しているところに、もう1人加わってきた。 「おい、準!アフリカに行くって、俺と一緒に東大に行くって約束はどうするんだよ!?」 目のくりっとしたさわやかな少年、千寛だ。そして、もう1人話に加わってきた。 「そうよ!わたしと、中学生になったらつきあうっていう約束はどうするの?」 女子の成績トップ、まりえだ。 「まあまあ、千寛、まりえ、アフリカに行ったからって、将来的に東大にはいれないわけじゃないし、遠距離恋愛だってできるじゃないか。」 「でも、、通信手段が確立してないかも。。」 まりえは不安そうに言った。 「そのためのドコモフだろ!」 準は、自信満々に手を握りながら返事をした。 そんな様子を担任の生天目先生が見て考えていた。 このクラスは頭のいいやつが多いってきいてたけど、なんか、小学3年のする会話じゃねえなこいつら。。
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