第1章

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ここは穴場のメイド喫茶。 あるメニューが反響を呼び、マニアの間で密かな話題となっていた。 「あっ…あ、あの…す、スマイルください。」 「す、スマイルですね!かしこまりました。」 スマイルとは、メイドを5分間くすぐって笑顔をもらい、見事笑わせた者には好きな部位を軽く拘束してくすぐることができると言う特殊なメニューである。 頼んだ者には30分の持ち時間が与えられ、笑わせるに至った分数×5分マイナスされることになる。 つまり、5分耐えきられてしまったら25分マイナスされるので終わり。 もし30秒で笑わせることができれば、2分30秒マイナス、つまり残り22分30秒は自由を奪ってくすぐることができる。 「………お待たせ致しました。お冷やになります。」 メガネをかけた大人しそうな女の子、新人で頭も良いと言うことで指名したが、中々可愛らしい。 俺のくすぐり友達曰く、無口で中々笑わなかったからオススメはしないと言っていたが…熟練の俺にはわかる。 俺はこの子の『ある部位』をくすぐりに来たのだ、その為には笑ってもらわなければ。 「あ、あの…くすぐっていいですか…?」 「えっ?…は、はい!どうぞっ!」 彼女はお盆にさっきの水が入ったコップを乗せて、持ち上げた。 彼女はこれで腕を下ろせなくなり、脇の下、脇腹、おなかなどの敏感な部分を隠せない、所謂精神的拘束ってやつか。 俺以外にスマイルを頼んでるやつを確認しても、頭の上ではなく腕を下ろして普通にお盆とお水を持ってる人、テーブルの上に座って足を伸ばしている人、お盆を持たずに素直に両手をバンザイしている人もいた。 当然、お盆のお水を溢した場合もスマイル判定となり、その時点で終わり。 …まずは脇の下を軽く爪先でコショコショくすぐってみた。
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