【26】Good-bye and good-bye.

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「高橋先生はまだお会いしてませんよね?」 放課後。 隣のデスクの音楽教諭、加藤先生のお言葉。 「はい。」 私はデスクの上のホイッスルを取りながら答えた。 「では後でご挨拶した方が宜しいですよ。 彼は週に一度、木曜だけにしかいらっしゃらないので…。」 「そうなんですか? じゃあ部活に行く前にでも挨拶してきますね。」 そう言って、私が加藤先生に顔を向けた途端、 彼女のクルクルの巻き髪が私の頬を掠めた。 「彼、すごく生徒に人気なんですよ! クールで男前だから!」 加藤先生はコソッと私に耳打ちする。 「ハハ、楽しみですね…。」 私は愛想笑いをしながら席を立った。 「あっ、高橋先生、 保健室の隣の部屋ですからねー。」 加藤先生は私の背中に和かに声を掛ける。 私はペコッと頭を下げてから職員室を出た。 ハア。 私はといえばジャージ姿に胸にはホイッスル。 部活に行く気満々だった。 デスクにホイッスルを忘れなければよかった…。 なんて思って、 まあ、仕方ないか…。 私はいそいそと保健室の隣の部屋へと足を運んだ。 それにしても…、 最近じゃごくごく普通の事なんだな…。 どの学校にもいるみたいだし…。 この学校のスクールカウンセラーって、 どんな人なんだろう…。 コンコン。 私はドアを軽くノックをして、 「失礼しまーす。」 そしてガラガラッとドアを開けた。
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