【26】Good-bye and good-bye.

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荒野の元へは行かない。 荒野もそれをわかっているから…。 私は荒野の元へは行かない。 大丈夫。 大丈夫。 病気も完治したし、 私はこれからの未来を一人で生きていける。 大丈夫。 大丈夫。 冬馬にも、 荒野にも、 私は誰の力も借りない。 大丈夫。 大丈夫。 きっと大丈夫。 私は冬馬の手を引っ張る。 ぐいっと引っ張る。 冬馬は赤い目をして私を見つめる。 私はそれに最大級の笑顔で応える。 「冬馬、立って!ほら!」 冬馬は立ち上がる。 私は冬馬の乱れた服を直していく。 「…どうせ仕事抜け出して来たんでしょ? 田所さん困っちゃうよ。 それにナツが怒り出すかもよ?」 私は冬馬にニヤリと笑う。 冬馬はズズッと鼻を啜って、 「…ああ、怒り出すな、きっと…。」 そう言って私にニヤリと笑い返した。
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