【26】Good-bye and good-bye.

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「…鍵はポストに入れておくから、 私の事は気にしないで冬馬は早く仕事に戻って…。」 私はグイグイと冬馬の背中を押す。 玄関まで押して行く。 「…わかったよ。 だからそんなに押すなって!」 そう言って冬馬は振り返る。 私の顔を食い入るように見つめる。 泣き腫らした目を見つめる。 「…いっぱい泣かせちゃったな。 ゴメンな…。 俺が杏奈を幸せにするって…、 約束したのにな…。」 私はブンブンと首を振った。 「冬馬は私を幸せにしてるよ。 冬馬の存在が私を幸せにしてる…。 だから大丈夫だよ。 冬馬は夢に突き進んで。 私はファン1号として応援してるから!」 「ありがとう。 杏奈、元気で…。 俺も頑張るから杏奈も頑張れ…。」 「…ん。 冬馬も元気で…。」 ガチャ、 冬馬はドアを開けた。 片手でドアノブを掴んでいる。 それなのに冬馬は一歩を踏み出さない。 ずっと俯いたままだ。 そのまま微動だにしない。 「…冬馬?」 私はそっとその背中に手を伸ばす。 冬馬の背中に手を伸ばす。 ぐいっ、、、 だけどその手を急に掴まれて、 ガチャン、 ドアが閉まる。 それと同時に冬馬は私の身体を引き寄せた。 引き寄せた…。
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