【26】Good-bye and good-bye.

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「んー、美味い! まあ、こんなもんかなー!」 私はピッとクッキングヒーターの電源を切った。 お味噌の良い香り…。 私は大根と油揚げの味噌汁を作った。 冬馬の部屋の私物の処分。 それを諸々こなした後に、 私は味噌汁を作った。 私が冬馬に残していくもの、 それは形の残らないもの…。 だけどせっかく買ったこの漆塗りのお椀が無駄にならないように、 片割れは置いていく事にした。 冬馬がこれで味噌汁を美味しく食べれますように…。 私はペコリとこの部屋に頭を下げてから靴を履いた。 長年通ったこの部屋とも今日でお別れ。 名残惜しくて、 胸が締め付けられて、 淋しくて仕方なかった。 ポストに鍵を滑らせるように入れて、 もう二度と触れる事はできない。 淋しい。 淋しい。 淋しい。 これが何もかもが中途半端だった私の恋の結末。 どっち付かずだった私の結末。 もう…、 誰もいなくなっちゃった……。
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