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バス停でぼんやりとバスを待ちながら、
私は金木犀の香りを楽しんでいた。
秋の香り…。
もう蝉の声は聞こえない。
秋の虫の声が聞こえる。
少し寂し気な声。
鈴虫なのかな…?
バスを待つ気分もあの時とは違っていて、
私はどこか清々しい気分だった。
一人になって…、
誰の気持ちにも気を使わなくなって、
私は心の底ではホッとしていた。
どちらか一人を選ばなければいけないなら、
どっちも要らない…。
初めからそうしていれば良かった。
こんなに気持ちが楽になるのなら…。
だけど私も怖かった。
一人になるのが怖かった。
冬馬はそんな私に気付いていたのかもしれない…。
だからきっと背中を押してくれた…。
冬馬の優しさに、
荒野の潔さに、
二人に感謝しつつ、
冬馬にも…、
荒野にも…、
二人ともGood-bye and good-bye.
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