【26】Good-bye and good-bye.

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「お婆ちゃーーーん!!!」 私は自宅トイレで叫んでいた。 ザザーーーッと水を流し、 チャッチャと手を洗った。 10月初め、 「生理来たーーーっ!! お婆ちゃん、私生理来たーーーっ!!」 ヨタヨタしながらドタドタと歩いた。 ホントは走りたかったけど、 今の私には到底無理な話だ。 だから音だけ一丁前に歩いた。 「ちょっと杏奈! そんな大声で言うんじゃないよ! ご近所に聞かれたらどうするんだい!!」 「えー? 別にいいじゃん! めでたいんだよ? 何てったって10年ぶり?11年ぶり? とにかく私にとっては喜ばしい事なんだよ!!」 そう…、 私は今はピルを飲んでない。 何だかんだで産婦人科に行く前に入院生活に突入。 だからピルを処方してもらう時間がなかったんだ。 なので今回の生理は明らかに自然だ。 私の身体が女に戻った証拠。 「何だか複雑だね…。 冬馬とも荒野とも終わってから生理が来るなんて…、 杏奈には誰も必要じゃなかったのかね…。」 お婆ちゃんはなぜか複雑そうだ。 「もー、そんなのどうでもいいでしょー!! とにかくめでたいんだから今日は赤飯だからね!!」
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