【26】Good-bye and good-bye.

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「…杏奈。」 切なそうな声とは裏腹に、 荒野はヒョイっと私の手を持ち上げた。 顔の前に突き付けられた私の左手。 「…この指輪、何?」 荒野は不愉快そうな顔をしている。 コロコロと表情がよく変わる。 さっきまでは全然読めなかったのに…。 「何で薬指にはまってるんだよ!」 イライラしている荒野に私もイライラ。 私は頬を膨らませてプイッと顔を横に向けた。 ブルーダイヤモンドのリング。 私のお守り。 この事を荒野に教える義理なんか私にはない。 「ふーん、あっそう…。 そんな態度に出るわけだ。 じゃあ、こっちも、、、」 「きゃっ!!! ちょっと何すんのよっ!!」 荒野は私を無理矢理抱きかかえて、、、 「離して!!」 無視してズンズンと歩く。 そして、、、 ドサッ!! 部屋のど真ん中にあるリクライニングチェアの上に落とした。 「ちょっ、荒、、うわっ、、、」 今度はガクンと即座にチェアの背もたれを倒されて、 あっという間に寝かされた状態の私。 荒野は私を囲うようにしてチェアに手を付いた。 「早く言え。」 荒野は獣のような眼光を私に向ける。 「…この二重人格。 さっきの生徒と私じゃ全然態度が違うじゃない…。」 「それって妬いてんの?」 荒野の口角が上がっていく。 「違っ、」 私は信じらんないと目を見開く。 「ハハッ!ウケる!」 荒野はすごく愉快そうだ。
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