【3】一番近くて遠い君へ

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そして週明けの火曜日、俺は普段通りの生活。 果穂とは全く何事もなく一緒に登校した。 杏奈とも会うことなく…、 まあ、向こうが避けているのかもしれないけど、あっという間に放課後になった。 俺はジャージに着替えてグラウンドへ。 「お待たせ。」 俺は普通に杏奈に声を掛けた。 「……。」 だけど杏奈は俺を睨んだまま微動だにしない。 「なんだ、怒ってるわけ?」 俺はこの間のキスをいかにも何事もなかったかのような態度で聞いた。 「…あんな事されて怒らない人がいるの!?」 杏奈が静かに怒りを露にした。 「ハハ!そうだね!」 「な、何笑ってんの!?」 「だって嬉しくて。 もう口利いてくれないかと思ってたから。」 「できれば口なんか利きたくないわよ!!」 「じゃあ何で?」 「あなたと…、 あなたと勝負がしたいのよ!」 「ハハ、すげープロ根性!」 杏奈はずっと俺を睨んでいたけど、俺は避けられなかった事への喜びが勝って嬉しくてニヤニヤしていた。 そして俺は杏奈に近づきそうっと耳打ちする。 「佐野先生にバラされたくなかったら、 部活終わったら教室に来てよ。 この間の続きしよ?」 杏奈の表情がみるみるうちに曇っていく。 俺は杏奈を手に入れる為に最低な手段に出る事にした。 .
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