イワナガヒメ

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ある日のことです。お父上である大山津見神(おおやまつみのかみ)が娘二人をお召しになり、おっしゃいました。 「邇邇芸命(ににぎのみこと)様というお方が木色咲耶媛(このはなさくやひめ)をお嫁にもらいたいと仰せになられた」 詳しくお話を聞きますと、二人は岬で出会い、命様が咲耶媛(さくやひめ)を見初められたとのこと。 そして、大津山見神(おおやまつみのかみ)は、咲耶媛(さくやひめ)を嫁に姉の石長媛(いわながひめ)を付き添いで命様のもとに参るように、とお話ししました。 「父上。命様が咲耶を嫁にと申されておりますのに、私も共に参るなど宜しいのでしょうか」 不思議に思い、石長媛(いわながひめ)は尋ねます。 「案ずるな。お前も付き添いで命様のもとに参らせるのには考えがあってのこと」 「そうですか……かしこまりました。では、咲耶と共に命様のもとへ参ります」 自信を持ってお答えになる父を見て安堵したのか、彼女は納得しました。その決断が、後に悔やむことになるなど知ることができましょうか……。
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