花が散るまで

6/29
前へ
/32ページ
次へ
唖然とする吉乃に、青年は形の良い眉を寄せた。 「ここで、何をしている」 「いや、何をって……ここ私の庭なんですけど」 「麗しき令嬢に、裸を堪能させていました」 「ちょっと! 誤解を招くようなこと言わないでよ。違うんです、この人が」 パァンっと乾いた音と共に、吉乃と変態の間の地面が抉れた。見れば、青年が拳銃を構えている。 「……銃刀法違反ですわよ」 とりあえず、それしか言えない吉乃に、青年はこちらを睨んで背後のマッチョに告げた。 「多少の怪我は構わない。捕らえろ」 「捕らえ……」 「そうはさせません」 変態が、コートのポケットから丸い物を取り出し、口でピンを引き抜く。 「ちょっと待って。それ手榴だ」 ぽいっと投げたそれは、次の瞬間、大爆発した。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加