花が散るまで

7/29
前へ
/32ページ
次へ
◆―――――――――――――――――◆ 「ここまでくれば、いいでしょう」 息を切らせて路地裏にしゃがんだ吉乃に対し、変態は涼しい顔だ。 さすがは変態。潜在能力が違う。じゃなくて! 「一体、何がどうなっているのよ! というか、私の庭、爆発したんですけど!」 「あぁ……貴女の体には姿すら隠す、超強力な結界を貼ったので。ご心配なく」 「ご心配なくって……庭はどうなったのよ?」 「とりあえず、名前からいきましょう。貴女と被るので、僕はサクとでも呼んで下さい」 さらっと流した、この変態。 爆発に関しては、すべて無かったことにするらしく、サクは話をサクサクと進める。 「貴女は、家の窓から足を滑らせて転落したようですね。それで、幽霊となってしまった」 諦めて、吉乃も庭のことは一旦忘れる。 そうでもしないと、話も進まない。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加